高橋恵氏 オンラインセミナー
「営業の神様が笑うとき」高橋恵氏オンラインセミナー
9月29日に開催されたオンラインセミナー。今回のゲストは、(株)サニーサイドアップ
創業者の高橋 恵氏です。高橋氏の営業ポリシーは「おせっかいを焼くこと」で、2012年には『幸せを呼ぶ「おせっかい」のススメ』を出版・大ヒットし、2013年には一般社団法人おせっかい協会を設立しました。
高橋氏について
今回ゲストとしてお話しいただいた高橋氏は
・40歳で離婚、42歳で長女と共に自宅で起業
・同社は2008年にJASDAQ、2019年には東証一部上場
・世界のPRエージェンシーランキングで18位に選出
というご経歴を持つ、パワフルな女性です。
幾多の困難を乗り越えた末に「起業」という選択肢を取り、その後も「おせっかい」という営業ポリシーを武器に知識・コネ・常識なしに新規顧客を開拓していった高橋氏。
本記事では、高橋氏の様々な営業エピソードをご紹介しながら、その営業の秘訣に迫っていきたいと思います。
講演レポート
あの時の困難を思えば、何でも頑張れる
3人姉妹で育った高橋氏ですが、お母様が26歳の時にお父様が亡くなってしまい、そこから厳しい生活を強いられることになりました。お金がない、働き口もない、けれどもお母さんと3姉妹の4人は食べていかなくちゃいけない。そんな日々が続いた先のある日のこと、家には多数のロープがあり、母が号泣しています。子供ながらに異変を察知していた高橋氏ですが、その時、近所の人から1枚の手紙が届きます。
「あなたには3つの太陽があるじゃありませんか。今は雲の中に隠れていても、必ず光り輝くでしょう。だから、どうか死なないで生きて下さい。」
その手紙もあり、高橋氏の母は自殺という選択を避けることができましたが、辛い日々は終わるわけではありません。
ある日の夜、叔母と母が「一番下の妹を広島に預けよう」と話しているのを聞いてしまった高橋氏。次の日には妹が連れていかれてしまうと思い、自分の手と妹の手とをハチマキで結んで就寝します。しかし翌朝には、恐らく母がほどいたのでしょうが、妹はハチマキの先にはおらず、「汽車に乗れる」と大ハシャぎ。高橋氏はボロボロ流れる涙の理由を妹に問われても、「歯が痛くてね」「目にゴミが入ってね」と子供ながらに必死に嘘をつきながら、妹を見送りました。
「あの時の悲惨な出来事を思えば、どんなことにでも感謝できます。」
営業・おせっかいを始めたきっかけ
高橋氏が高校生の時、「母子家庭の子供は非行少年・少女が多い」というのが週刊誌等のネタにされておりました。このことや、幼少期に見た母の辛い背中を思い「女も力をつけなきゃいけない」と、高橋氏は営業マンになりました。
しかしながら、立候補した営業も、始めてみると辛いもの。最初は笑顔で出迎えてくれた主婦の方の表情が、営業だと分かった瞬間に曇っていくのを何度も見ました。そこで高橋氏は「自分がこうなりたいと思えるような、主婦のお手本となるような人を探そう」と、自分の中でテーマ設定をし、営業を続けます。ある日、ある訪問先の主婦の方が、嫌な顔1つせずにお茶とお菓子を出してくれました。これに感動した高橋氏は、今も、宅急便や新聞の配達員さんに飲み物とお菓子を渡しているそうです。
「見知らぬセールスマンに見せる素顔こそ、その人の我が姿である」
一番嫌いなことを、やってみた
20代後半の頃、保険の営業をされることが大嫌いだった高橋氏。
「なんでこんなに健康なのに、こんなに高いお金を払わなきゃいけないんだ」と思いながら、保険の営業マンに対しては「本当にすみません。私はアレルギーが出るほど保険が嫌いなんです。どうか、お名刺を無駄にしないためにも、このままお引き取りください」と対応していたそう。
そんな高橋氏はある日、「私だったら、こんなに保険が嫌いな人に、どうやって保険を売るのだろう」と興味がわき、あっという間に保険の営業マンとなります。
「私はまず、名刺を受け取ることが嫌だったな」と、どのように名刺を受け取ってもらうかを考え始めました。次に高橋氏が取った行動は、デッサンの解説書の購入でした。その本を読みながら、52枚の名刺に筆ペンでイラストを描き、お客様への訪問時には「この中から好きなものを選んで下さい」と名刺を差し出す。そうすると、すんなりと名刺を受け取ってくれました。その後、個人の保険契約はもちろんのこと、企業保険まで成約させていった高橋氏でした。
「52枚のトランプの中には、4枚のエースがある。ならば、この名刺を52枚配れば、その中には4人の見込み客がいるのではないか。」
時間のかかる贈答品より、すぐのお礼状
T社(仮)にて、トップレベルのセールスを記録した高橋氏。
その体験談を自身の本に書き、「少しでも喜んでくれたら」とその本をT社に送りました。しかしその後、何の返答もなく、1か月後に突然送られてきたのはT社の商品。高橋氏は、モノがほしくてそんなことをしたわけではありません。ただ喜んでほしかっただけ。「モノをあげればいいでしょ」という意図がうっすら感じられるこのお礼は、あまり気持ちのいいものではありませんでした。
「お礼状をすぐに出さなきゃいけない」
前代未聞の「トイレ商法」
アートネイチャーから「この女性用ウィッグ、どうやったら売れると思いますか?」という相談を受けた高橋氏。当時、主に男性の営業マンが販売していたこともあり、「女性である私が売ってみせる」と、100個のウィッグを預かりました。しかし、預かってみてから我に返る高橋氏。「100個も預かって、捌ききれるかしら」と不安になりますが、新宿駅に行き、ホーム上にいる女性の頭を数えてみると「あ!100個は大した数ではない」と、心が軽くなりました。「100個なんて難しそう」と思っている限りは何もできません。「100個なら売れそう」と思えば、絶対に売ることができます。
そして、軽くなった心でオフィスビルに向かった高橋氏。社員向けにウィッグの展示会を開いてもらう交渉をしようとしていたのですが、受付をしている女性を見た際に、ひらめいてしまいます。「この子にウィッグを被せたい」
一度決めたら必ず達成するのが高橋氏。「お願いですから被ってみてください」と女性をトイレに連れ込み、鏡の前でウィッグを試着してもらいます。すると、ウィッグは大好評。他の女性社員にもトイレで試着してもらうと、次から次へとウィッグが売れていきました。「男性が入ってこない狭い空間なので、セールスがしやすかったのかも」と振り返る高橋氏。現在ではセキュリティ等の面からなかなか再現の難しそうな、「トイレ商法」のご紹介でした。
「いつの時代も、その時代にあったことを考えられれば、モノは売れる」
見返りを求めないことの見返り
A社(仮)の商品の凄まじい販売実績をあげた後に社長にアポイントを取り、広告代理店として営業に行った高橋氏。熱心に説明をした高橋氏でしたが、「うちはD社で気に入ってるから。帰って帰って!」と、片手で無下に追い払われてしまいます。しかしその時、社長がカッターで手を切ってしまいました。心配する高橋氏ですが、社長は「いいから帰って」と追い払います。高橋氏は渋々部屋を後にしましたが、「あの部屋に救急箱あったかな」「本当に大丈夫かな」と心配になり、即座に薬局にて包帯等を買い揃え、社長室に向かいました。戸惑いつつも申し訳なさそうに感謝した社長は、その場でお礼にスカーフをプレゼント。後々、テレビCMの発注もしてくれたそうです。
「見返りを求めない、損得を考えない行動が大事」
転んでも、タダでは起きない
車いす生活をしている方がライブを開くということで、代わりにチラシを配布することにした高橋氏。自転車に乗ってチラシを配布していたのですが、転倒してしまい、チラシも散乱してしまいます。心配した周りの方々が手を差し伸べてくれ、高橋氏はその手にすがるかと思いきや、その手にサッとチラシを渡しました。
この出来事を本人は何とも思っていないというから、驚きですね。
「人が喜んでくれるなら、何でもやる」
講演では…
本記事でお伝えしたのは、講演内容の本当にごくごく一部です。
高橋さんの生い立ちや営業での経験談、そして、1人の人間としての体験談には、終始心を動かされ続けました。笑いあり、涙ありの講演本編では他にも
・607号室と707号室のことを「6階・7階」と紹介したら営業がうまくいったお話
・「病院よりも美容院に行く」というキャッチーな名言
・おせっかいで磨かれる5つの才能
・5つの営業の秘訣
などなど、金言がたくさんございました。
是非、本編動画では、ここでご紹介できなかった「おせっかい」エピソードをくまなくチェックしてみてください!